アンゴラにおける貧富の差
２０２３年７月初旬、ラウリンダが、アンゴラの首都ルアンダからドイツ国際平和村施設へ到着しました。継続治療のため再び渡独したラウリンダは、よく知る建物に到着し、スタッフと再会し、喜びの笑みを浮かべました。ラウリンダとともに、今回合計８名がドイツへ再治療のためにやってきました。８名とも、以前ドイツで治療を受け、複雑な整形外科関連の継続治療のため、再渡独しました。アンゴラでは、この継続治療の実施は不可能です。今回、アンゴラから来た８名の子どもたちには、ドイツ国際平和村代表ビルギット・シュティフターとスタッフであるビルギット・ヘルムート、ライッサ・ノイマンが同行していました。
この８名の子どもたちの渡独２週間前、代表とスタッフ２名はアンゴラへ向かいました。その際には、治療を終えて元気になったアンゴラの子どもたち６名に同行し、アンゴラで無事家族に引き渡すことができました。代表とスタッフは、到着と同時に、アンゴラ現地パートナー団体である“Kimbo Liombembwa”と、治療を必要としている子どもたちの面会を始めました。現地パートナー団体が事前準備をし、アンゴラの１８の地方都市から子どもたちが面会にやってくることができました。面会の際には、アンゴラの悲しい現実と直面しました。「面会には、数えきれないほどの、子どもたちがやってきました。多くの子どもが、重い骨髄炎や内反足、それに泌尿器系の問題を抱えています。」そう語るのは、長年援助飛行に同行しているスタッフのビルギット・ヘルムートです。アンゴラの子どもたちへの医療支援は、確実に必要とされています。「近い将来、可能な限り多くの子どもたちがドイツで治療を受けられるよう準備していきます。第一段階の準備を進めることができました。」とヘルムートは報告します。「現地パートナー団体を訪れる子どもたちの症状はどんどん悪化しています。しかし、医療を受けることは、多くの貧困層の人々には不可能なことです。困難な状況下にある人々が、常に厳しい現実と向き合っているのです。」とドイツ国際平和村代表ビルギット・シュティフターが言います。「アンゴラの多くの子どもたちが苦しむ貧困の現状や貧富の差は、面会の場以外でも目にします。首都ルアンダの港湾地区には、高層ビルが立ち並んでいます。その影となる場所に、トタンなどで出来た平屋が広がり、そこに生活の場がある貧困層の人々は、富裕層の様子を眺めるだけです。街中に日用品は豊富にあります。ただ、それらを購入できるのは、お金を十分持っている人だけです。」と、代表が続けました。
貧富の差が大変激しいアンゴラの首都ルアンダですが、人々は常に生活環境の改善を願っています。今回のアンゴラ滞在中、ルアンダの南方に位置するクアンザ・スル州にあるズンべという臨海都市を訪れました。ここでは、教育施設を訪問することになっていました。「クアンザ・スル州は、人口密度が比較的低いです。というのも、多くの人々が国内避難民として大都市圏に移動しているからです。医療インフラは、まったく整っておらず、基礎健康診療所にも必要な設備や備品がありません。ケガや病気をした人は、首都ルアンダまで移動しなければなりません。」とビルギット・シュティフターが語ります。生活の糧を得るため一人でも多くの人手を必要としている家庭にとって、首都へ移動して診察を受けるというのは、大変困難なことです。
医療供給制度が整っていない様子を実感する地方訪問となりましたが、この地区の小学校訪問は、新たな支援の可能性につながりました。訪問した小学校には約１，２００名の生徒が通っています。仮設教室は、豪雨で何度も使用できなくなりました。何週間も休校にせざるを得ない時期もありました。ただ、校長先生と保護者たちのおかげで、毎年豪雨のあとに、教室が再築されました。さらには、保護者たちによる資金提供によって、新しい石造りの教室の基礎、外壁、屋根が完成しました。「校長先生と保護者たちの想いに感動しました。毎日生きることに必死な人々が、教育の大切さを理解し、どうにか資金を出し、学校運営を続けています。教育の貧困が健康にも影響を与えます。現地パートナー団体と協力して、アンゴラの学校へどのような支援が可能かを検討していきます。」それと同時に、ドイツ国際平和村が支援している他の国々同様、アンゴラの医療支援の必要性にどのように対応できるかも検討していきます。ラウリンダのようにドイツで再会し、現在の様子を知れたことは嬉しいことでもありますが、最善な方法は、彼女がアンゴラの家族の元で必要な治療を受けられるようになることです。
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