2022年活動報告

2022年活動報告

2022年は、2021年と比較し、コロナ・パンデミックの影響が援助飛行の分野ではだいぶ減少しました。約3年間の防疫措置による規制が緩和され、ようやく明かい兆しが見えた1年となりました。同様に、子どもたちの母国における現地プロジェクト活動も、制限なく進めることができ、長期的な視野で現地の人々の生活環境や医療供給の改善を目的としたプロジェクトを各国で行うことができました。その中には、新たに取り組めた現地プロジェクトもあります。しかし、コロナ・パンデミックとロシア・ウクライナ間戦争の経済的影響により、人々の苦しみがさらに増していることも明らかです。現地の人々は、基礎食品でさえ、手に入れることができない状況です。そのため2022年は、イラク、カンボジア、アフガニスタン、タジキスタンなどの国で緊急支援を行いました。

子どもたちへの治療援助:

2022年には、アフガニスタンから143人、アンゴラから43名、タジキスタンから8名、ウズベキスタンから10人、キルギスから5人、ガンビアから13人、パレスチナから4人、イラク(クルド人自治区)から8人、シリアから1人、ウガンダから1人、合計で10か国から236人の子どもたちをドイツへ受け入れました。2022年12月末の時点で、ドイツ国際平和村は、8カ国の子どもたち175人を受け入れていました。

アフガニスタン・カブールで、2022年2月、2000人以上を超える子どもたちと面会しました。劣悪な医療状況がさらに悪化していることは明らかでした。面会で渡独が決まった子どもたちは、ドイツ国際平和村がチャーターした飛行機に乗って、2022年3月に渡独しました。89人の子どもを受け入れ、治療を終えた19人が家族の待つ母国に帰ることができました。

2022年8月にも、11月の援助飛行に向けて、子どもたちと面会しました。この子どもたちは、2月の面会時に出会った子どもたち50人です。3月から8月の数か月でも、医療状況の悪化がさらに進みました。2022年11月には第88回目のアフガニスタン援助飛行で、治療を必要としている54人の子どもたちが渡独し、治療を終えた69人が帰国しました。

人々の苦しみは他の活動国でも見受けられます。2022年9月、ドイツ国際平和村のスタッフは、アンゴラ援助飛行の準備のため、約2週間、アンゴラの首都ルアンダに現地入りしていました。アンゴラへの援助は約30年前から取り組んでいますが、今後もこの国への援助が必要なことは明らかでした。10月第1週目に、治療を終えた42人の子どもたちが、チャーター機に乗りアンゴラへ帰国し、復路便では、43人の治療を必要としている子どもたちが渡独しました。

イラクでは、「Barzani Charity Foundation」という団体と新たに協力関係を持ち、2022年10月に、パートナー団体のスタッフに付き添われ、9人の子どもたちが渡独しました。

2022年、合計171件の治療提供がありました。(2021年は123件)

手術室を備えたメディカル・リハビリセンター

手術室を備えたメディカル・リハビリセンターの稼働により、日帰り手術が実施されるようになりました。ドイツにおける子どもたちへの治療援助の分野での活動内容が広がりました。2022年内には、手術室において、67件の手術がボランティア医師によって実施されました。形成外科手術が提供できるようになり、子どもたちの治療の可能性が広がりました。加えて、子どもたちは、ドイツ各地の病院への移動もなく、慣れた環境で手術を受けることができるようになりました。​

現地プロジェクト活動:

現地プロジェクト活動の目的は、子どもたちが家族のいる母国で適切な治療を受けられるようになることです。現在、母国で治療を受けることができない子どもたちは、家族と離れドイツで治療を受けていますが、ドイツと家族を繋げる大事な役割をそれぞれの国の現地パートナースタッフが担っています。現地プロジェクト活動の最終目標は、現地の人々が自分たちの力で必要な活動を続けて行けるようにドイツ国際平和村が支援することです。
各国について詳しくはこちらのサイトに掲載しています。支援国A-Z – ドイツ国際平和村 (friedensdorf.de)

人道危機に陥っているアフガニスタンでは、2022年、新たなプロジェクトを実施することができました。政権交代と各国によるこの国への制裁により、この国の医療、人道状況は壊滅的です。医療物資支援と並行して、2022年には、井戸を合計3基、アフガニスタン現地パートナー団体がジャララバード、クンドゥズ、カブールにて行っている社会福祉プロジェクト「マラストゥーン(平和のための共同体)」に建築しました。加えて、アフガニスタンの様々な州で、食糧物資支援を合計5回実施しました。また、緊急医療セットを4セットと、ある寄付者によってカブールの学校に文房具を提供することができました。

引き続き、アルメニア、キルギス、ウズベキスタンでの手術プロジェクトは進められました。このプロジェクトにより、子どもたちの母国での治療が可能になります。この3カ国で、手術プロジェクトの資金援助、必要な医療技術の提供ができました。

カンボジアでは、2022年、41軒目の基礎健康診療所が完成しました。基礎健康診療所の本棟に加え、分娩室のある別棟を建てました。新生児と母親を他の感染から守ることができます。今後も、このコンセプトをもとに基礎健康診療所建設プロジェクトを進めていく予定です。現地パートナーの要請があり、トゥールスノール地区に既に運営されていた基礎健康診療所にも産科病棟を別棟に配置しました。

2022年11月、約3年ぶりにドイツ国際平和村スタッフがカンボジアへ向かいました。現地では長年の現地パートナーであるChau Kim Heng氏が同行し、バッタンバン市のサーカスプロジェクト、プノンペンの幼稚園プロジェクト、基礎健康診療所を視察することができました。2022年4月と11月に、現地パートナーとともに食糧物資支援も行いました。

タジキスタンでは、障がいを持つ子どもたちへの訪問理学療法プロジェクト「リハビリ at Home」を推進しました。女医、看護師、理学・作業療法士からなる女性チームが尽力しています。ドイツ国際平和村が支援しているこの理学療法プロジェクトは、親とその子どもを長期的に支援します。

そして、人々の生活基盤を支援するため、食糧物資支援も行いました。過去に取り組んでいたタジキスタンへのパケットアクション(ドイツ市民が基礎食品を詰めた箱をドイツ国際平和村がタジキスタンへ運び、現地パートナーが必要としている人々へ分配するアクション)が、ロジスティックにかかる費用高騰が理由で実施が不可となったため、タジキスタン現地パートナー団体と協議して、例年とは異なる形での支援を行いました。

ドイツ国際平和村・平和教育部門:

平和教育部門でも、2022年もまだ通常通りとはいきませんでしたが、好ましい傾向もありました。まず、教育機関としての品質監査を受け、100%要求事項を満たしていると認定されました。ドイツ国際平和村教育部門は、ノルトライン・ヴェストファーレン州の生涯教育に関する法律に則って活動しており、プログラムの公正や実施に際しての様々な要求事項を満たさなければなりません。

ドイツ国際平和村・平和教育部門の開催する「出会いの場」におけるプログラムには、2022年、49のグループが参加し、そのうち41のグループに対面での活動紹介を開催できました。ファミリー・生涯学習講座の各種セミナーは、112セミナー(合計1300授業時間)を開催でき、1098人の参加者がありました。

平和教育活動の目的は、人々の人道援助への意識や社会参加を促し、全ての人々の平和的な共生に誰もが寄与できることを多くの人々に示していくことです。このミッションを、外部の取り組みと協力した形でも遂行できました。例えば、自治体の統合政策の取り組みで、ディンスラーケン市、社会統合に取り組む団体と協力して、「平和のハトプロジェクト」を進めました。施設、小学校、専門学校、シニア団体から、700を超える平和をモットーに完成されたハトが集まり、ディンスラーケン市各地に配置されました。社会に向けて、目に見える形で、平和、共生、ダイバーシティへのシグナルを送りました。

2022年も、オーバーハウゼン市における広島長崎原爆被害者追悼式へ参加しています。

資金に関して:

エネルギー危機やインフレーションにかかわらず、引き続き多くの方々からご寄付をいただきました。2022年、一般寄付項目にあたる寄付は、10,81%増加しました。2021年に比べて、約45万ユーロの増加です。オンライン寄付の件数が、2021年に比べ、20%増加しました。ドイツ国際平和村が活動を続けていけるのは、多くの方々の連帯があってこそです。「協力者・支援者のおかげで、子どもたちに治療の機会を提供でき、並行して現地パートナー団体と協力しながら、子どもたちの母国におけるプロジェクト活動も継続、そして新たなプロジェクトも開始することができ、何千人もの子どもたちの生活環境を改善できました。」とドイツ国際平和村代表、ビルギット・シュティフターが言います。

2023年の予定

アフガニスタンの人道危機は、2023年も残念ながら続くでしょう。3月には援助飛行を予定しています。医療援助物資に加え、冬服、魚の缶詰など保存食も運びます。「私たちは、人々の苦しみを忘れません。」と、ドイツ国際平和村スタッフ、クラウディア・ペップミュラーが言います。他の活動国、アンゴラ、ガンビア、タジキスタン、イラクへも援助物資を届ける予定です。加えて、2023年も、現地プロジェクト活動を通し、各国の医療供給、生活環境の改善を目指します。タジキスタンへのパケットアクションは2022年に実施したように形態を変えてタジキスタンの人々へ物資支援を届けます。「様々な障壁はありますが、私たちの活動の中心には常に現地の人々・子どもたちがいます。そして、子どもたちの健康な未来を可能にするための道をこれからも進んでいきます。」と代表シュティフターは言います。

写真:André Hirtz

Schreibe einen Kommentar

Deine E-Mail-Adresse wird nicht veröffentlicht. Erforderliche Felder sind mit * markiert