ドイツ・オーバーハウゼン市から元気になって世界へ

ガンビア、ウズベキスタン、タジキスタンから来ていた子どもたちが帰国しました!

2023年4月末、ウズベキスタンからドイツへ来ていたモイがウズベキスタンの首都タシケントの空港に到着しました。彼女は笑顔であふれていました。なぜなら、数分後には家族と再会できるからです。10歳の彼女は、4ヵ月以上ドイツに滞在し、治療を受けていました。モイは重度のやけどを負い、両手と腹部の皮膚が拘縮していました。そのため、特に右手の指は動かすことが困難でした。母国ウズベキスタンでは、適切な治療を受けることができませんでしたが、ドイツ国際平和村のメディカル・リハビリセンター内にて手術を受けることができました。ボランティア医師が彼女の手の瘢痕拘縮を解き、モイの指は可動範囲を広げることができました。彼女は、家族にドイツでの体験を語ることでしょう。この度、モイを含め4人のウズベキスタンの子どもたちがドイツでの治療を終え、家族との再会を果たしました。

このウズベキスタンの子どもたちの帰国翌日は、ガンビアの子どもたちが帰国する日です。ウズベキスタンの首都タシケントと西アフリカに位置するガンビアの首都バンジュールは、約9000km離れています。モイが家に帰った頃、3歳のアラジーは、バンジュールの空港で抱きかかえられながら飛行機から降りてきました。長旅で疲れていましたが、帰国できたことを大変喜んでいました。アラジーとともにさらに3人の子どもたちが、母国ガンビアに帰国しました。アラジーは、治療のため1年ほどドイツに滞在していました。食道狭窄症を抱えていた彼は、1年前は正常に飲み込むことも困難でしたが、協力病院での手術とオーバーハウゼン市の子どもたちの施設でのアフターケアを通し、飲食が可能になりました。ちょうど4歳の誕生日に彼は母国ガンビアへ帰国することができたのです!4人のガンビアの子どもたちの帰国には、ドイツ国際平和村のスタッフ2人が同行していました。バンジュールの空港で子どもたちの帰りを待ち焦がれていた家族へ、ドイツでの治療の経過やその他の情報とともに、子どもたちをそれぞれ引き渡すことができました。スタッフたちは、ガンビア現地パートナー団体「Project Aid The Gambia」と協力して、到着翌日から、病気やケガを抱えた子どもたちと面会しました。ドイツでの治療が可能と判断された子どもは、次の援助活動でドイツへ来る予定になります。「バンジュールで面会した子どもたちの数は、予想より少ない人数でした。ガンビアの貧困問題は明らかな課題であり、多くの人は専門的な医療治療を受けることはできません。また、首都までの交通費も支払うことができません。次回の現地入りでは、地方にも向かい、治療を必要としているより多くの子どもたちに治療の機会を提供できるように検討していきます。」と、同行したドイツ国際平和村スタッフが報告しました。

さて、再び、中央アジアでの活動に戻ります。アラジーがバンジュールに到着した2日後、アブドゥロはちょうど飛行機の窓から、タジキスタンを眺めていました。11歳の彼にとって、オーバーハウゼンとドゥシャンベ間を行き来することは今回が初めてではありません。顔面から首にかけて瘢痕拘縮があり、その治療後の経過を診てもらうために今回渡独していました。後続治療は今のところ必要なく、他の2人のタジキスタンの子どもとともに帰国しました。渡独経験者の彼ですが、再び家族と会える喜びは、他の2人と同様に大きく、同行したドイツ国際平和村スタッフ、ビルギット・ヘルムートとライサ・ノイマンにとっても、家族との再会は心揺さぶられる瞬間でした。スタッフたちは、子どもたちの家族への引継ぎの後、タジキスタン現地パートナー団体「Dechkadai Sulh Derewnja Mira」とともに、ドイツでの治療を希望している子どもたちとその家族と面会しました。首都ドゥシャンベと3つの州にて、約180人の子どもたちを診ました。多くは瘢痕拘縮や口唇口蓋裂、心臓疾患を抱えている子どもたちでした。心臓疾患を抱えた子どもたちとその家族は、クルガンテッパの町に希望を持っています。そこには、1999年から2000年にかけて、重度のやけどの治療のためドイツを受けていたかつての子どもである二ゴラが住んでいます。二ゴラの家族は、二ゴラが元気になってタジキスタンへ帰ってきた後、二ゴラと同じように支援を必要としている子どもたちのために動き出すためのオフィスを開設しました。そして、今回の訪問で、心臓疾患の子どもたちを支援する二ゴラのプロジェクト「空飛ぶ燕」の説明を受けました。

面会には、以前と同様、心身の働きに制限がある子どもたちの家族もやってきました。タジキスタンにおいて、身体の機能に問題を抱えた子どもたちの数が多いのは、専門家の付き添いなしに自宅で出産をする多いことが理由の一つに挙げられます。特に過疎地域では、家族が生き延びていくために猫の手も借りたいほどの状況です。そのため、難産によって子どもが障害を抱えた状態は、家族にとって、さらに厳しい状況となっています。身体の機能に制限がある子どもたちを支援するため、ドイツ国際平和村は2016年、タジキスタンでの現地プロジェクト活動として、理学療法が行える施設の設立を資金援助しました。ドゥシャンベにあるこの施設では、理学療法が施され、家族へは対応の仕方などの講習を提供しています。このプロジェクトは家族の負担軽減にもつながっています。また、2019年からは、理学療法士チームの訪問リハビリも現地プロジェクト活動の一つとして支援しています。今回の現地視察では、医師ロクショナ、看護師であるサリナとマッサージ師のマルヴダによる理学療法チームが従事している訪問リハビリに、ドイツ国際平和村スタッフも同行し、多くの家族の困苦を目のあたりにしました。「四肢付随を抱えた子どもたちは特別な介護が必要です。タジキスタンの貧困にある家族にとってこの状況には困苦が伴います。理学療法チームが、数年にわたり寄り添う家族もあり、大変重要な任務を遂行しています。家族の日々は、理学療法チームによって負担が軽減されています。」と、現地入りしたスタッフであるヘルムートは言います。特に現在、多くの家族が子どもを養っていけるかどうかわからない状況に陥っています。「基礎食品の価格は高騰を続けています。パン類、野菜がとても高くなっています。」とヘルムートが言います。そのため、昨年同様、ドイツ国際平和村は困苦にある家族が厳しい冬を乗り越えられるよう、食糧物資、衛生用品などを人々に届ける活動をする予定です。昨年行ったように支援物資の購入、梱包、分配は現地パートナー団体が担います。

モイ、アラジー、アブドゥロは、母国での生活に慣れ、以前のように暮らしていることでしょう。彼らのエピソードは、ドイツ国際平和村が現在受け入れいている7カ国からの約160人の子どもたちとも重なります。ドイツ国際平和村の援助活動は、まだまだ必要とされています。「できる限り、より多くの支援を行いたいです。」とドイツ国際平和村代表、ビルギット・シュティフターは強調します。ウズベキスタンでは、次の援助飛行での渡独が決定している子どもたちが多くいるため、今回の滞在では、子どもたちとの面会は行いませんでした。ウズベキスタンにおける現地プロジェクトは、引き続き資金援助しています。口唇口蓋裂の手術プロジェクト、整形外科手術プロジェクト、形成外科手術プロジェクト、心臓疾患の子どもたちへのプロジェクト、合計4件のプロジェクトを現地パートナー団体と協力して実施しています。

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