「世界子どもの日」に際し

子どもの権利を守るために

ドイツでは、9月20日を「世界子どもの日」とし、子どもの人権について喚起しています。子どもの人権について多くの人々に考えてもらえるようにと、1954年の国連総会の際に各国に「世界こどもの日」を制定することが提案されました。小さく無邪気な地球人である子どもたちには、様々な人権に加え、特に「健康に生きる権利」と「紛争被害から保護を受ける権利」があります。

紛争や危機的状況にある地域の子どもたちにとって、この人権が守られていないことが多々あります。最近のアフガニスタンの情勢をみてもわかることです。アフガニスタンは、40年以上も紛争、絶望、貧困に翻弄されてきました。何世代もの人々が「平和」を知らず、子どもたちは戦時下で、成長せざるを得ません。

タリバンがアフガニスタンを制圧してから、状況は激化しています。数か月も前から、子ども連れの多くの家族が対立から逃れるため、様々な州からカブールに避難しています。彼らは、親戚の家に宿泊したり、空き地にテントを立てて生活しています。アフガニスタンでは10月中旬から寒さが増します。食料品が不足し、価格が高騰しています。多くの人々が失業し、家族を養うことができません。加えて、薬や医療品が不足し、人々への医療供給状況はより悪化しています。今回のタリバンによる制圧以前から、アフガニスタンの人々は、適切な医療処置を受けられず、日本やドイツなら、すぐに治療が可能なケガや病気が、重症化しています。子どもたちの家族は、傷口がふさがらないほどの重い創傷を抱えた子どもの手当てを自分たちでしなければならず、病院にも連れていくことができません。

ドイツ国際平和村は、「必要最低限の医療を受けられる」という子どもたちの権利を重要視しています。十分な医療供給、十分な栄養、清潔な水は、アフガニスタンだけでなく、ドイツ国際平和村が支援している子どもたちの母国では、一部の人々しか手に入れることができません。54年間、紛争や危機的状況にある子どもたちへ医療援助を行うため、子どもたちをドイツに受け入れています。治療後は、母国の家族のもとに帰ります。そして、子どもたちの母国の医療を充実させるため、持続可能なプロジェクトを各国で実施しています。

写真:現地パートナー団体の建物の中庭に、ケガや病気を抱えた子どもたちとその家族が集まっています。ドイツでの治療が可能かどうかを判断するための面会の順番を待っています。(撮影:Toby Binder 2019年)

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