新型コロナウイルス・パンデミックによる影響

~ドイツ国際平和村・各部署からの報告~

2020年1月、ドイツで初めての新型コロナウイルス感染が発生しました。3月11日、世界保健機構(WHO)は、パンデミックの発生を発表し、その後ドイツ全土でロックダウン措置をとりました。現在は、ドイツ全土での措置自体は多少緩和されました。しかしながら、ドイツ国際平和村の様々な部署で、その影響が引き続き見受けられます。各部署からの報告です。

援助飛行・子どもたちへの医療支援

ドイツ国際平和村共同代表 Kevin Dahlbruch: 2020年3月、コロナ危機初期、ウズベキスタンとキルギスへ向かい子どもたちとその家族と面会する予定でしたが、残念ながら現地入りを断念しました。その後、状況がさらに悪化する中、5月に予定していたアンゴラとガンビアの子どもたちへの援助も中止せざるを得ませんでした。この中止決定は、ドイツ国際平和村にとって、とても苦しい決断でした。というのも、治療を終えた子どもたちをできるだけ早く家族のもとに帰し、治療を必要としている他の子どもたちを連れてくることができなくなったからです。ドイツ国際平和村が支援している国々における入国制限措置や、防疫措置、移動制限から、援助飛行は現在、不可能です。同時に、ドイツ国内では、コロナによるパンデミックで協力病院の子どもたちへの無償治療にも大きな変化が見られます。このような状況下で、引き続き治療をしてくれる病院へ、より感謝の念を持っています。現在は、コロナウイルスの感染状況に左右され、いつ、どのような形で援助活動ができるかが不透明です。

現地プロジェクト活動

ドイツ国際平和村共同代表 Birgit Stifter: 現地プロジェクト活動の分野では、衛生措置と接触制限により、一時大部分が静止状態になりました。カンボジアにおける基礎健康診療所の建設や社会福祉プロジェクトも停滞しました。ドイツ国際平和村が支援している国々で、コロナ・パンデミックの影響を最も受けているのは、貧困層の人々です。現在、もっとも深刻なのは、飢餓です。接触・行動制限により、多くの人々が労働が不可能、または職を失い、家族を養うことができなくなりました。そのため、ドイツ国際平和村は支援物資として、カンボジアやタジキスタンへ基礎食品と衛生用品を届けました。タジキスタンでは、コロナ危機により価格高騰が起こり、一般の人々が食品を手にすることができていない状況です。新型コロナウイルスのパンデミックを機に、あらためて、現地プロジェクト活動の重要性を認識し、今後も引き続き、力を入れて取り組まなければならないと実感しました。

基礎食品と衛生用品の分配。カンボジアにて。

子どもたちの施設

施設責任者 Natalie Vienken: ドイツ国際平和村に滞在する子どもたちは、通常の生活を送っています。ロックダウン後、子どもたち自身が、訪問者や登録ボランティア、平和教育の一環で訪問するグループがなくなったことに気付きました。そのため、私たちスタッフは、子どもたちに新型コロナウイルス感染の現状について話をしました。外部からの接触を制限しているのは子どもたちを守るためであること、子どもたちが渡独した時のような援助飛行が現状では不可能であることを伝えました。子どもたちは忍耐強く、ともにこの時期を支え合い、乗り切ろうとしています。現在も引き続き、子どもたちへの感染リスクを最小限にするため、可能な限り外部接触を制限しています。登録ボランティアの方々は今までしていた活動をできず、子どもたちもとても残念に思っています。今までのところ、新型コロナウイルスの感染は発生していません。これからも気を抜かず、感染予防を続けていきます。

„DANKE, dass ihr Zuhause bleibt!“ 「自宅待機してくれてありがとう!」

学びの場担当 Gaby Bucksteeg: ドイツ国際平和村の子どもたちはエネルギッシュで、屋外で過ごす時間が多いです。施設内の公園では、友だちと思いっきり遊べることをとても喜んでいます。私たちスタッフは、子どもたちが退屈しないように気分転換を兼ねて、特別なアクティビティを時々企画しています。例えば、ミニ運動会や水遊び、バーベキューなどです。今では、登録ボランティアが活動を再開できて、屋外で子どもたちと工作や絵を描いたりしています。

アリクレーネ(8歳):入院中の病院で、世界中にコロナがあることをテレビで見たよ!僕の家族がいるアンゴラにもコロナがあるそうです。家族が心配です。でも、今は家に帰ることができません。いつ飛行機が飛ぶかもわかりません。家族がとても恋しいです・・・。僕と僕の平和村の友達が「バクテリア」に感染しないように、僕はいつもきちんと手を洗っています。早くコロナがなくなってほしい。

子どもたちは、病気やけがの原因になるものを「バクテリア」と表現します。

それは、ドイツ国際平和村が受け入れている子どもたちの中で最も多い症状「骨髄炎」が、多くの場合、バクテリアを介して発症するからです。

処置室・リハビリセンター

センター責任者 Katrin Huskamp: ドイツ国際平和村のリハビリセンターでの活動は、コロナ・パンデミックにより、大きく変化しました。新型コロナウイルスの感染が広まり、子どもたちへの感染リスクを高めないよう、私たちスタッフはパンデミック直後からマスクをするようになりました。子どもたちにとっては、私たちの顔全体が見えないことが大きな変化でした。表情を通してのコミュニケーションは、私たち双方にとって重要です。子どもたちとの時間をより多く持つことができ、より充実しているのは確かですが、援助飛行活動に向けての準備中の慌ただしさや援助飛行中の興奮といった感覚がないのは、どこか寂しさを感じます。

キッチン・洗濯場

キッチン責任者 Raissa Schneider: 私たちの部署も、コロナ・パンデミックの影響を受けています。部署のスタッフ全員を2つのチームに分け、接触を減らし、定められたソーシャルディスタンスを満たすために、勤務が重ならないようにしました。大量のジャガイモの皮むきや大量の野菜のカットといった作業をする際には、登録ボランティアの力が必要なのですが、決められたスタッフのみで作業しなければならず大変でした。それでも、私たちはチームワークがよく、なんとか業務をこなしています。私たちの喜びは、子どもたちの母国の料理を作って、子どもたちを少し元気づけることができたり、ホームシックを和らげることができることです。

手術室を備えたリハビリセンターの建設

建設担当スタッフ Thomas Killmann: 建設に関しては、ありがたいことに、今のところコロナ・パンデミックの影響を大きく受けていません。コロナ・パンデミックの初期、この工事を担当している建設会社から、外国からの建設物資の配送に遅延が出るのではないかとの話がありました。また、私自身、接触制限やスタッフの病欠によって、技工職人による作業に遅延がでるのではないかと危惧していました。けれども、その心配の必要なく、工事現場では、それぞれが屋外で距離をとっての業務が可能で、衛生管理措置も問題ありませんでした。コロナ・パンデミックにかかわらず、建設工事は2020年末に終了の予定です。

外装がほぼ整った新しいリハビリセンター(2020年夏)

協力病院統括部

担当スタッフ Raissa Neumann: 私たちの部署では、ドイツ各地にある協力病院と連絡をとり、子どもたちの治療をコーディネートしたり、援助飛行の準備をします。コロナ・パンデミックによるロックダウンの際は、子どもたちの入院が減少し、手術や入院予定が延期になりました。入院が決まったとしても、子どもたちは新型コロナウイルスに感染していないかどうか検査を受けなければなりません。このコロナ危機は、紛争や危機的状況にある地域のケガや病気を抱えた子どもたちにとって、長期的な打撃です。コロナ・パンデミック以前から、子どもたちへの無償治療を提供してくれる医療施設を見つけることが難しくなっていました。無償治療受け入れが減少すればするほど、母国の状況に委ねるしかない子どもたちが増えるのです。

協力病院での付き添いボランティア

登録ボランティア Laura Niemeier: コロナ・パンデミックにより、私のボランティア活動は、より密に、より多く時間もとるようになり、ポジティブな影響もあります。コロナ・パンデミックが発生する以前は、入院中の子ども1人を複数のボランティアで付き添っていたので、週に1回か2回の頻度で病院へ向かっていました。しかしながら、デュースブルグ市の病院に入院している女の子の訪問は、感染を防ぐため、4月中旬以降、決められた2人のボランティアしか付き添いができなくなりました。2日に1回はこの女の子の病棟に行くようにしていますが、フルタイムの仕事をしながらなので、両立できるよう上手くスケジュールを立てなければなりません。病棟でこの女の子と過ごすと、コロナ危機をひと時忘れることができ、楽しい時間を彼女と過ごしています。治療の経過や彼女の成長に寄り添えることは、この上ない喜びです。

援助物資

担当スタッフ Phuong Truong: 私たちの業務は、コロナ・パンデミックにより大きく変化しました。まず、外部の人々との接触を控えるために、医療関連物資の大型の寄付を寄付者のもとへ受け取りに行くことができなくなりました。通常だと、援助飛行のチャーター便の貨物室に、医療関連物資や車いす、包帯類やアイソトニック発泡錠剤などを載せて輸送します。今年の5月にはアンゴラへの援助飛行を見送ることになりました。そのため、現地パートナー団体はこれらの重要な援助物資を待つことしかできませんでした。不透明な飛行予定や高騰した貨物輸送価格により、物流が滞っています。そのような中、幸運なことに、ドイツ国際平和村を通して医療支援を受けたかつての子どもたちへの医薬品も含めた援助物資を貨物機によって、アンゴラ、そしてウズベキスタンへ送ることができました。タジキスタンへも、かつての子どもたちへの医薬品を届けました。9月の末には、アフガニスタンへかつての子どもたちへの医薬品を無事に届けられることを願っています。

ウズベキスタンへ送る援助物資の準備

平和教育部

担当スタッフ Rebecca Proba: コロナ・パンデミックによって、私たちの活動はすぐに静止状態になりました。2020年3月中旬、感染予防措置として、開催予定の全てのセミナーやコースを中止にしました。そのため、参加費といった重要な収入源がなくなりました。しかし、多くの参加者が中止になったセミナーの費用をご寄付くださったことは、私たちの大きな支えとなり、モチベーションとなりました。この静止状態中の時間を活用して、新たなアイディアをひねり出し、私たちが伝えたい要素をデジタルの世界でどのように橋渡しできるかを考えています。しかしながら、平和教育活動の核は、以前と変わらず、「出会い・体験」です。条件が変わったり、制限が変わっても、この核は大切に続けていきます。州政府による緩和が始まってからは、衛生環境と感染予防に配慮した注意事項順守の上、徐々にセミナーを開催しています。

広報部

担当スタッフ Claudia Peppmüller: ドイツ国際平和村施設への訪問者受け入れは、3月中旬以降できなくなりました。今までの経験によると、実際に子どもたちと出会い、その子どもたちへの支援について知ってくださった方々は、より長くドイツ国際平和村の活動に賛同してくれます。特に心が温まるのは、活動の状況や子どもたちについて心配し、連絡をしてきてくれる人々がいることです。今年は、一般公開のお祭りなどのイベントを開催できず、大変残念に思っています。これらのイベントは、施設にて生活する子どもたちにとっても、特別です。今年は、子どもたちだけでなく、訪問者やスタンドでお祭りを盛り上げる人々にも、イベントの独特な雰囲気を体験いただけず残念です。

ドイツ国際平和村の子どもたちによって描かれた絵

担当スタッフ Wolfgang Mertensコロナ・パンデミック初期は、寄付金減少傾向にありました。もしかしたら、かなりひどい状況になっていたかもしれません。ところが、長期の支援者だけでなく、新規の寄付者による、大きな連帯の波を感じることができました。このような状況下でもドイツ・ライオンズクラブは、ドイツ各地での支援活動で、50万ユーロを超える寄付を集めてくれました。緊急事態でも、支援を続けてくれているドイツ・ライオンズクラブに感謝します。加えて、様々な企業や個人が、ドイツ国際平和村に想いをよせ、消毒液やマスクなどを寄付してくれました。ドイツ国際平和村へは、誕生日会や結婚式を通した寄付も寄せられますが、そういったイベントが開催できない中、人々は募金集めの新しい方法を見出しました。例えば、マスクを自分で縫い、周りの人に買ってもらい、それを寄付するといった方法です。

日本関連

担当スタッフ Maki Nakaokaコロナ・パンデミックにより、私たちの部署も変化がありました。まず、3月末に予定されていた長崎県の高校からの訪問をキャンセルせざるを得ませんでした。ドイツ国内に滞在されている方からの訪問希望もお断りしています。そこで、日本からドイツへ人々が来れないのなら、オンラインで繋がっていこうと新しい企画を考えました。4月と8月には、オンラインで活動説明を行い、それぞれ120人ほどの方に参加いただきました。4月以降、入国制限により、日本からの新しい住み込みボランティア(研修生)はいません。現在は、日本の方2名がボランティアで活動に参加しています。コロナ禍ではありますが、多くの日本の方々がドイツ国際平和村の活動に想いを寄せ、支援してくださることに、大変心強く思っています。例年とは異なる今年のチャリティウォーク「#50TagePower」に多くの方々が参加してくださったことから、皆さんの子どもたちを想う気持ちも届いてきました。新しい状況下で、私たちの仕事の条件や方法を変化させなければいけませんが、最善の形で対応していきます。

岡川さんと内冨さんが、アクション「#50TagePower」に参加してくれました。宍道湖にて。

物資の寄付とセカンドハンドショップ

担当スタッフ Sarah Beckmann : パンデミックが発生した直後、ロジスティック面で、寄付物資の受付時間を、月曜日から土曜日の9時から14時に、制限しなければなりませんでした。加えて、受付場所をディンスラーケン市の本部事務所のみに限定しました。この制限下でも、ドイツ国際平和村施設で生活する子どもたちの衣類を十分に準備できて、ほっとしています。また、ロックダウン中、ドイツ国際平和村のセカンドハンドショップや「Friedas Welt(フリーダの世界)」というギフトショップを閉店しなければならず、重要な収入源がなくなりました。そのような中、多くの方々から、ショップの再開を願う声が届き、嬉しく思いました。閉店期間中は、「Friedas Welt(フリーダの世界)」のオンランショップを導入し、皆さんにオンラインでデコレーション商品やギフト商品を購入いただけるようになりました。制限緩和が進み、現在は全店舗を再び開店でき、安堵しています。

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