インターン体験記 田中 志帆さん

インターン体験記

田中 志帆さん(2017年7月~12月)

現在大学4回生の田中志帆です。2017年7月から半年間ドイツ国際平和村でインターンシップしていました。ドイツ国際平和村でのインターンシップを考えている方の参考に少しでもなれたらいいと思って書きました。よろしくお願いします。

ドイツ国際平和村インターンシップに応募したきっかけ、理由。

ドイツ国際平和村に応募した理由は自分の経験を社会に活かすことをしたかったからです。私は、大学でドイツ語を学び、交換留学をしましたが、ただ学んで終わりではなく、その経験を人のために使いたいという思いと、元々ボランティアに興味があり今がそのチャンスだと感じたからです。さらに、交換留学中にドイツ国際平和村を訪れた時に、日本人スタッフが「縁があったから 私はドイツ国際平和村を選んだ」という言葉を聞いて、私もこの縁を大切にしようと改めて思えたことも理由の一つです。

・ドイツ国際平和村での活動内容
子どもたちの生活のサポート

私は、女の子たちの担当をしていました。働き方は早番と遅番があり、早番は朝の6時から始まるので、朝起きるのがしんどかったことを覚えています(笑)。まず、ミーティング、子供達の着替え、歯磨き、体調管理を行います。その後、食堂に移動して朝ごはんを配膳し、食後はリハビリや授業がある子どもたちをその場所へ連れて行ったり、行く準備をさせます。お昼ご飯まで時間があるので、一緒に映画を見たり、絵を描いたり、外で遊んだり、工作をしたり、一緒に話したりします。

遅番では、朝と同じようにお昼ご飯の配膳を行い、またリハビリや授業がある子供達の準備をします。この間に体調管理も行います。そして、夜ご飯の後はシャワーを浴びさせたり、寝る準備をして子どもたちを寝かせます。

 

 

ドイツ国際平和村での活動と日本の職場の違い。

私は大学生で日本の会社で働いたことがなく、アルバイトの経験や学校での経験からなのでもしかしたら違和感があるかもしれませんが、違いと苦労で2つずつあげます。

違いは、

「体調が悪ければしっかり休みを取る責任があること」

日本では、体調が悪くてももう少し頑張ろうという考えの方が強いのかなと思いますが、ドイツでは体調が悪い時はしっかりと休むことが責任の一つだと考えられていると思います。

「思ったことをはっきり伝えてくれるところです」

ドイツ人は直接的な表現がすごく多いです。最初は、きつい言い方と感じてしまう事があると思いますが怒っているのではないので、萎縮せず違うと思ったり疑問に思ったら発言をしたり、ミスをしてしまったら素直に謝罪をする。とても分かりやすいコミュニケーションだと感じました。

・日本の職場と比べて苦労したこと

苦労は、「ミーティングの内容を完璧に聞き取る事」です。これは言語の壁になってしまうのですが、最初は子どもたちの情報をドイツ語で理解する事がすごく難しかった事を覚えています。これを毎日聞いて、確認しての繰り返しで理解出来るようになりました。

これは、番外編ですが日本人との関係性も言語が通じるからこそぶつかることもありました。日本人でボランティアに来られている方は年齢も目的も様々で社会人経験のない私は年上の方に失礼なこともしてしまっていたと思いますが、注意やアドバイスをしてくれる方もいて、学ぶことがたくさんありました。

 

・子どもたちのお世話をする中で、印象に残っていること。

2つあります。

1つ目に、初めてドイツ国際平和村に来る子どもを受け入れた日です。言葉も分からない国に突然子どもだけで来る経験は私たちには想像できないくらい不安な事だと思います。シャワーすらも浴びたくないと言う子や「絶対に家に帰る」と毎日のように泣く子、逆にすごく明るい子もいました。私は初めての事だらけで目的が仕事を達成する事になってしまい、子どもたちの立場に立って接する事が難しい日がありました。しかし、余裕を持って常に笑顔で子どもたちに接するよう心がけるようにしました。また、子どもたちが身体的な制限によりできないことも、できる方法を見つけて一緒に挑戦してみることで、子どもたちが嘘のようになついてくれました。日々の積み重ねが、子どもたちとの信頼関係を築くのにいかに大切かを実感するきっかけになりました。

2つ目に、病気やケガが治らないこともあるという現実を改めて知った事です。症状がひどくて手術をする事ができず母国に帰る事になった子が1人いました。1人で泣いていて、他の子どもたちにはこの事を絶対に言わないでと言っていました。私も子どもたちがドイツ国際平和村に来ることができれば全員良くなって帰れると信じていましたが、それは今考えると当たり前ですが難しい事だという事を改めて気づけた瞬間でした。この経験から簡単に「絶対」とは言うべきではないし、一人で受け入れようとしていたこの子を見てここにいる子どもたちは本当に強い分、もっと向かい合って、理解してあげなければと思いました。

3つ目に、子どもたちが帰国する日です。この日は、子どもたちもずっと待ち続けて、最高に嬉しい日で、私も何度経験しても泣きそうになってしまいました。初めて経験した時は我慢できず少し涙が出てしまい、スタッフからすごく怒られたのを覚えています。

 

・子どもたちのお世話をする中で、嬉しかったこと

1つ目に、子どもたちがプレゼントをくれた事です。私が誕生日の日に子どもたち自身が計画して誕生日ソングを歌ってくれたのはすごく嬉しかったです。それだけ子供たちと近い存在になれた事を実感できたし、頑張ってきて良かったと思えました。

2つ目に、松葉杖や車椅子だった子どもが歩けるようになった時です。子どもたちの中には、ずっと車椅子で生活をしている子もいますが、痛くてとても大変なリハビリを乗り越えて歩けるようになった子を見てきました。足が治るならママに会えないのも我慢できると言っていた子が歩けるようになった日や、一人でトイレに行けなかった子が行けるようになった時は本当に嬉しかったです。

 

・子どもたちのお世話をする中で、苦労したこと

1つ目に、子どもたちミットアルバイター(スタッフ)だと思ってもらうことです。私はドイツ語ネイティブでもなく、日本人で若く見えるせいもあり、なかなか言うことを聞いてくれないことがありました。しかし、自信がなくてもとにかく自信があるように振る舞うことや、諦めずに毎日一人一人と会話をすること、最初は苦手だった注意もきちんと行うことで、私の言うことを理解してくれるようになり、「知らない人」ではなくミットアルバイターとして私を認めてくれるようになりました。

 

・他のインターン生との共同生活において、楽しかったこと、苦労したこと。

楽しかったことは、寮の大きいリビングルームで仕事前や後にみんなでしゃべったり、映画を見たりしたことです。また、イベントごとにみんなでパーティーをしたこともとても印象に残っています。また、2週間だけルームメイトがいた時に、その子と毎晩今日あった事を話す中で、すごく仲良くなれたのも良い思い出です。

 

苦労したことは、私は基本的に一人部屋のことが多かったので大丈夫でしたが、基本的には二人部屋なので、早番の時にルームメイトを起こしてしまうのではないかと考えながら準備するのが大変そうでした。また、ドイツ人は窓を開けて寝る人が多いので、日本人だと寒いと感じてしまう時があるかもしれません。しかし困った時に、相手にしっかりその事を伝えることは大事だと思いました。また、生活習慣の違いも意外と慣れてしまうことも多いとも思いました。私は基本的に一人部屋だったので夜に喋り相手がいるのは羨ましかったです!笑

 

・インターンシップ経験を通して、自分の中で変化したこと。(あれば)

ドイツ国際平和村では、ボランティアや途上国に対する考え方が変わりました。ドイツ国際平和村に来るまでの子どもたちのイメージは、怪我で辛そうだというものでした。 また、途上国は絶対に先進国の助けが必要な国だというイメージもありました。しかし、子どもたちはとてもたくましく、楽しそうに毎日を過ごしていますし、彼らは「自分たちの国が一番良いし、早く帰りたい」と言っていました。そして、なにより子どもたちと過ごす事で私も元気をもらえました。この経験から、社会活動やボランティアの認識が「やってあげたい、あげなければ」から、「共にさらに良い未来を実現したい」という考えに変わりました。なぜなら、子どもたちは辛いだろうとか助けが必要だという考えは現状も知らない私の勝手な思い込みで、そこに住んでいる人たちはすごく幸せな可能性も十分にあるし、私のイメージは対等な立場でなかったとすごく反省したからです。だからこそ、私もドイツ国際平和村のように、相手が本当に必要としている事を確実に理解して、常に対等な立場で接する事はこれからも大切にしていきたいです。

 

・今後の目標、計画など。

今後は、今回学んだ事を活かして日本の民間企業で働く予定です。ボランティアやNGOからは少し離れてしまいますが、ボランティアは日本でもどこでもできる事なので続けていきたいし、余裕が出来ればドイツ国際平和村にもまた訪れたいと思います。ありがとうございました。

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