川崎哲氏インタビュー:「平和は人から始まる」

広島からの警鐘:ドイツ国際平和村が広島と長崎を追悼 
~インタビュー川崎哲氏「平和は人から始まる」~

広島と長崎への原爆投下から80年以上が経過し、ある問いがこれまで以上に切実なものとなっている。

「より平和な世界を実現するには何が必要なのか?」今回インタビューに答えてくださったピースボート共同代表で、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員を務める川崎哲氏は、その答えは国家や軍事戦略から始まるのではなく、人間から始まると力強く答えた。

ドイツ国際平和村のインタビューで、長年にわたり平和活動に携わってきた川崎氏は、自身が平和運動に関わるようになった経緯、原爆投下を経験した唯一の被爆国としての日本の特別な責任、そして人道支援や国際交流の重要性について語った。

平和運動への道のり

川崎氏は東京で育ち、広島や長崎との直接的な関わりはなかった。それでも、彼は早い時期から「平和」というテーマと向き合っていた。学生時代、彼は父親と共に広島で行われた8月6日の追悼式典を訪れた。平和公園には、原爆の犠牲者を追悼するために何千人もの人々が集まっていた。この体験は、当初は彼を平和運動へと導くものではなかったものの、彼に深い影響を与え続けた。

川崎氏にとって転機となったのは、1990年代初頭、大学在学中のことだった。1991年の湾岸戦争と、第二次世界大戦以来初めて日本が海外に部隊を派遣すべきかどうかをめぐる議論が、彼に自身の立場を問い直すきっかけとなった。政界の一部ではより積極的な軍事的役割を求める声があった一方で、多くの人々は戦後憲法の平和主義という基本理念を守り続けたいと考えていた。

「日本は平和に献身する国であり続けるべきだと確信していた」と川崎氏は振り返る。彼は当時まだ発展途上だった日本のNGO界に意識的に身を投じることを選んだ。学生の平和団体で活動し、すでにベトナム戦争に抗議していた活動家たちと協力し、やがて「ピース・ピープル」へとたどり着いた。2003年には「ピースボート」で活動を始め、今日に至るまで、平和、対話、国際協力のために尽力している。

平和に必要なもの

「平和について語る際、多くの人はまず国家や政府を思い浮かべます。しかし、中心にあるべきは『人』です」と川崎氏は語る。「誰もが、より平和な社会を築くために貢献することができます。平和は政治から始まるのではなく、一人ひとりの内から始まるのです。」

「もしすべての国が核兵器がもたらす人道的影響を真に理解していれば、議論はまったく異なるものになるだろう」と彼は言う。核兵器が主に抑止力や地政学的な力の手段として見なされている限り、その使用がもたらす人道的苦しみは後景に追いやられてしまうのだ。

広島と長崎の被爆者の体験は、今日に至るまで、戦争と核兵器がもたらす人道的影響を痛切に示し続けている。だからこそ、こうした記憶を保存し、若い世代に伝えていくことが重要なのである。

川崎氏は、こうした姿勢を通じて、ピースボート、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)、そしてドイツ国際平和村の活動を結びつける。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が世界中で核兵器の廃絶を訴え、ピースボートが国際的な対話を促進する一方で、ドイツ国際平和村は60年近くにわたり、戦争や紛争地域で暮らす子どもたちに医療支援を提供し、新たな生きる希望をもたらしてきた。それら医療支援活動に並び、ドイツ国際平和村では、平和教育も中心的な活動の一つとして行っている。2024年5月にドイツ国際平和村は核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に加盟し、核兵器廃絶を訴えている。

次世代が平和へのカギ

川崎氏は、若者たちに特別な役割を期待している。平和教育、人との直接的な出会い、そして多様な経験の共有こそが、平和を単なる政治的目標としてではなく、社会的責任として捉えるために不可欠であるという。

川崎氏は、将来に向けて、この3団体の交流がさらに深まることを望む。ドイツ国際平和村で医療支援を受けた子どもたち、原爆被爆者、そしてさまざまな国からの若者たちが一堂に会する交流会の開催も考えられる。こうした直接の交流は、共感や平和に対する責任感をもたらすだろう。

ドイツ国際平和村にとって、この対話は、60年近くにわたり活動を支えてきた基本理念――「平和は人から始まる」――を改めて裏付けるものである。人道支援、平和教育、国際理解は切っても切れない関係にあり、平和的な共生の基盤を築くものである。

ドイツ国際平和村は、毎年、人類史上初めて原爆が投下された8月6日に、施設のあるオーバーハウゼン市内で、ドイツ・オーバーハウゼン市の平和推進団体と共催で、追悼式典を行っています。広島・長崎の犠牲者を共に追悼することを通じて、平和、人道、核軍縮へのメッセージを発信することを目的としています。

今回のインタビューの背景

川崎哲氏へのインタビューは、マラ・ペップミュラーが担当しました。長年にわたりドイツ国際平和村でボランティア活動をしてきたマラは、現在、日本の大学に通い、日本からドイツ国際平和村の活動を支援しています。日本はドイツ国際平和村にとって、最も重要なパートナー国の一つです。この長年にわたる日本とのつながりがきっかけとなり、川崎氏とも個人的な交流が生まれました。

 

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