「アフガニスタンの状況は今までになく深刻です」
2022年3月24日(木)、ケガや病気を抱えた子どもたち89人が、ドイツ国際平和村がチャーターした飛行機で、アフガニスタンからドイツ・デュッセルドルフ空港に到着しました。ドイツ時間の夕刻に到着した子どもたちは、長い飛行で大変疲れていました。到着後、空港からもさらに移動があります。ドイツ全土にある各協力病院へ向かう子どももいれば、一旦ドイツ国際平和村の施設に向かう子どもたちもいます。子どもたちは、母国アフガニスタンで適切な治療を受けることができませんでした。今後ドイツでケガや病気の治療を受け、将来的にこれ以上苦しまず生活していけるようになります。
チャーター機が着陸し、子どもたちが降機します。多くの子どもたちがケガのために歩くことができず、抱えられて降りてきます。数人のスタッフが、一人の男の子をストレッチャーを使って降ろしています。この9歳のやせ細ったジャービッド*は、数か月前に交通事故にあいました。その時以来、彼の左足には、開口傷があります。アフガニスタンでは病院へ行くことができませんでした。アフガニスタンの人々は現在、薬を手に入れることができません。日本やドイツであれば、集中治療室で治療を受ける必要があるほどの重い症状をジャービッドは抱えています。そのような状況でも、彼の家族は、一般的な鎮痛薬ですら彼に与えることができませんでした。アフガニスタンでは、現在、多くの医師が海外へ出て行ってしまい医師も不足しています。このような状況下で最も苦しんでいるのは、子どもたちです。
ドイツ国際平和村スタッフは、2022年2月に2週間弱、アフガニスタンに滞在していました。そして、アフガニスタンの医師とともに、ドイツでの治療が可能かどうか診察するため、子どもたちと面会していました。ドイツで治る見込みがあること、治療を無償で行ってくれる病院の有無も考慮しながら、渡独する子どもを決めていきました。その際、約2200人の子どもたちと面会しました。アフガニスタンでは、多くの子どもたちが、骨髄炎ややけどを抱えています。発症してすでに数年が経過している子どもたちも多く、適切な処置もなされないままです。銃弾、榴散弾、地雷の爆発による被害を受けた子どもたちも面会にやってきました。必死の想いで子どもを面会に連れてくる家族。子どもたちの症状からはアフガニスタンの子どもたちの過酷な状況は明らかです。その悲惨さは、言葉にすることができないほどです。子どもたちの脚や腕はやせ細り、汚れにまみれた衣類をまとい、靴下しか履いていない子どももいます。「これほどまでに深刻なアフガニスタンの状況を体験したことはありません。ムジャヘディーン時代でさえもここまではひどくありませんでした。」と1992年に初めてアフガニスタン援助飛行に同行したビルギット・ヘルムートが報告しました。今回の援助飛行数日前にアフガニスタンへ入ったビルギット・ヘルムートとクラウディア・ペップミュラーは、2月の面会時からさらに状況が悪くなっている様子を目にしました。「子どもたちはやせ細り、数週間前にアフガニスタンの医師によって処置された傷口には衣類が巻かれていました。家族は、包帯類も手に入れることができないのです。」とペップミュラーは語ります。
今回渡独した89人の子どもたちには、ドイツ国際平和村の活動に協力してくれる病院にて治療を受け、元気になれるという明るい兆しがあります。入院中以外の期間は、ドイツ・オーバーハウゼン市にあるドイツ国際平和村の施設にて、様々な国々から来ている約100人の子どもたちと共に生活します。文化や言語、宗教など異なりますが、ここでは皆が「元気になる」という目標のため、共に治癒の道を歩んでいます。
今回の援助飛行でドイツにやってきた子どもの中に、11歳のナーヴィッド*という男の子がいます。数か月前、コーランを開いたときに仕掛けられていた爆弾が爆発し、重傷を負いました。もうすぐドイツの病院にて治療がはじまります。今はまだ、これから平和村の施設でたくさんの友達に出会えることを彼は知りませんが、ナーヴィドもジャービッドも、そしてその他の子どもたちも皆、これから共に元気になっていくのです。
この援助活動は、日本やドイツから多くの方々のご支援・ご協力によって成り立っています。この場をお借りして心からお礼申し上げます。
*子どもの名前は仮の名前です。
Schreibe einen Kommentar