2025年ドイツ国際平和村レポート特集記事

「アフガニスタン援助:現地プロジェクト、緊急支援、現地手術プロジェクト」

2024年にアフガニスタン・バグラーン州で開始した養鶏プロジェクトは、開始から良い成果を出しています。2025年4月にも、特に片親家庭を中心に、さらなる雌鶏を分配しました。

彼らはこのプロジェクトを通じて、栄養と希望、忘れ去られていないという感覚を得ています。そして何よりも子どもたちが鶏の世話を楽しみ、人々は将来への展望を持てるようになりました。より多くの家族にこのようなポジティブな体験が届くことを願っています。「ニームローズ州​(イランとの国境にあるアフガニスタン南西部の州)で、1000世帯に分配する鶏を資金援助し、今年10月に、現地パートナー団体を通し、現地の人々へ鶏を届けました。」とドイツ国際平和村代表、ビルギット・シュティフターが報告します。この養鶏プロジェクトは、2026年も広げていきます。

2025年初め、アフガニスタン・バグラーン州のアグリ村で、ドイツ国際平和村の資金によって構築された井戸が稼働開始しました。当初は、近郊の4つの村の人々への水供給を確保する目的でしたが、14の村から人々がやってきて、その需要の大きさを実感しています。2014年の夏に大洪水の被害を受けたこの地域に更なる井戸を構築することによって、復興支援につながっていきます。飲んだり調理だけでなく、家屋を立てるためセメントを混ぜたり、畑や菜園への水も必要です。井戸構築プロジェクトも多くの方々からのご寄付があってこそ、実現が可能です。

アフガニスタンの子どもたちへのMER(移動式クリニック)

清潔な水に並行して、特に遠隔地にある小さな村々において、基本的な医療供給が緊急に必要とされています。そこで、MER(移動式クリニック)は、この状況を改善し、特に治療を受ける手段がない子どもたちに医療を提供することを目的としています。適切に洗浄されないがゆえに骨髄炎を発症させてしまうかもしれない傷の初期治療、予防接種、診察、感染症の治療が行われます。また、自然災害時に、迅速に被災地に向かい、医療対応を行うことができます。アフガニスタン現地パートナー団体の赤新月社が、医療スタッフを手配します。

このMER(移動式クリニック)があっても、複雑な手術のためには大きな病院に行かなければなりません。ただ、多くの家族はそのための費用を工面することができません。そこで、ドイツ国際平和村は2023年より、カブールの2軒の病院での子どもたちの手術費用を支援しています。2025年8月からは、もう1軒の病院が協力してくれることになり、泌尿器系疾患を抱えている子どもたちへも支援を広げることができます。

学校の改修工事

2025年6月、現地プロジェクト視察訪問の際、アグリ村のはずれにある学校を訪問し、支援の成果を見ました。この学校では、教室と衛生設備の改修工事を行いました。「設立25年とは思えない学校になりました。2024年11月に訪れた時は、教室にカビが発生し、全ての窓が壊れていました。児童が病気を引き起こしてしまう状態でした。」と、クラウディア・ペップミュラーが報告しました。改修後、約100人ほど児童が増え、現在約850人の児童がこの学校に通っています。

イランとの国境地域の状況悪化

イランで難民として生活していたアフガニスタンの人々が、毎日何百人もイランからバスで国境を超えて帰還しています。所持品は着衣と手に持てるものだけの場合がほとんどです。2025年8月の時点で、百万人を超える人々が帰還しました。多くの子どもたちが飢えとのどの渇きに苦しんでいます。さらに不衛生な環境も日常の現実です。

ドイツ国際平和村スタッフは、イランとの国境に近いヘラート州において、帰還家族がスーツケースひとつで故郷に戻る姿を目の当たりにしました。戻ってきた国アフガニスタンでは、簡易的な医療施設でさえ5 万人をケアしなければならない状況なのです。「医師たちは優れた訓練を受けていますが、十分な医薬品、包帯、医療機器がないまま毎日奮闘しています。必要な物資さえあれば、もっと多くの命を救えるはずです。」と、ペップミュラーは報告しています。アフガニスタン現地パートナー団体の報告によると、数少ない母親のみ子どもに母乳を与えることができています。多くの子どもたちが母乳を得られないということは、多くの乳児の栄養不足と弱い免疫力を意味します。この小さな体に細菌やウイルスが侵入すれば、すぐに生命を脅かすことになります。そこで、国境地帯で、現地パートナー団体と協力して、子どもたちや乳児用に食糧を配りました。飲料水、乳児用粉ミルク、幼児用食料などです。この支援は命にかかわります。少なくとも短期的の間、苦しみを和らげることはできます

「アフガニスタンは、緊急に支援が必要です。」

8月末から9月初旬にかけて、再びドイツ国際平和村のスタッフが、次回の援助飛行の準備のためアフガニスタン現地入りしていました。

現地入りしたスタッフのペップミュラーは、アフガニスタンの子どもたちの苦境は耐え難いほどだと言います。2,000を超える家族が、ケガや病気を抱えた子どもたちを見てもらうため、現地パートナー団体のオフィスにやってきました。この子どもたちの多くは、何ヶ月も家で痛みに耐えながら寝たきりでした。抗生物質も、鎮痛剤も、そして多くの場合、医療処置もまったく受けられないままです。家族は、介護に対応しきれない状態です。多くの家屋は、トイレが屋外にある質素なものです。包帯、医薬品、専門的な支援など、あらゆるものが不足しています。母親や父親は、子どもたちが少しでも良くなるように手助けしたくても、子どもたちが苦しむ様子を無力に見つめるしかないのです。

「子どもたちの強さは印象的ですが、同時に悲しいものです。」

「私たちは、子どもたちたちの我慢強さにいつも驚かされます。彼らは確かに苦しんでいますが、泣くことはありません。まるで、痛みと共存する方法を学んだかのようです」と、ドイツ国際平和村スタッフ、ビルギット・ヘルムートが、感嘆と衝撃が混じったような表情で話します。面会時には、現地入りスタッフに同行しているシュタイネン-ペルシュケ医師や1988年以来アフガニスタンでの活動を現地で支えてくれているマルーフ医師が同席します。その際、医師たちに傷を見せようと、子どもたち自らが包帯をはずします。子どもたちは、いつ痛みを特に感じるかをよく理解していて、診察中もできる限り協力してくれます。

ドイツでの無償治療受け入れ

8月末から9月初旬にかけての滞在初日から4日間、面会を続けました。「11月に予定されているチャーター機を利用しての援助飛行でドイツへ受け入れたい子どもたちはたくさんいました。ただ、多く連れてきたとしても、ドイツの協力病院による治療受け入れを保障することができません。」とペップミュラーが言います。そのため、より多くの子どもたちに治療を提供するべく、カブールでの現地手術プロジェクトを通した手術治療を約180人の子どもたちに約束しました。この現地手術プロジェクトを実施できるのも、多くの方々からのご寄付のおかげです。今回初めて、泌尿器系疾患の子どもの治療も対応できることになりました。

この現地手術プロジェクトにも、現地の医療環境による限界はあります。重度の骨髄炎の複雑な手術や骨の安定と延長を目的とした創外固定器具を取り付けは、アフガニスタンではかなり困難です。アフガニスタンではそのような手術に必要な外科設備が整っていない上に、家族は社会的な医療支援はなく、衛生的とは言えない環境や質素な土壁の家という生活環境の中で、費用のかかるアフターケアを行う余裕はありません。このようなケースでは、ドイツでの治療しか選択肢がありません。「助けたい子どもたちがどれだけの数いるかを知っているからこそ、限界にぶつかるのはさらに、つらいことです」と、ペップミュラーは心を痛めています。

アフガニスタン東部で地震

8月末から9月初旬にかけてのアフガニスタン滞在中、アフガニスタン東部を地震が襲いました。震源地であるクナールとその近郊で、数千人の人々が亡くなり、その約半分は子どもたちです。負傷者も多数出ていて、子どもたちも負傷しています。イランと国境を介したアフガニスタン西部のヘラート州に滞在していたスタッフらはすぐに地震の被災地を訪れ、破壊の程度や今後必要な支援について、直接確認し、緊急医療セット(Emergency Health Kits)4セットを現地に届くよう手配しました。3日後には被災地に届き、現地パートナー団体「アフガニスタン赤新月社」のスタッフによって配られました。その窮状は非常に深刻であったため、現地パートナー団体からさらなる支援要請がありました。ノルトラインヴェストファーレン州の支援もあり、2025年9月末にも緊急医療セットを3セット、被災地に送ることができました。

緊急医療セット(Emergency Health Kits)

緊急医療セットは、WHOによって定められた救援セットで、医薬品や医療資材、災害や人道上の緊急事態における応急処置用の包帯などが含まれています。1つの医療セットで約10,000人に医療を提供することができます。2025年1月から10月の間に、ドイツ国際平和村はアフガニスタンに向けて10セットを資金援助しました。現地パートナー団体が分配を担い、約10万人の人々に、特に子どもたちに支援を届けることができました。

2月:バグラーン州へ1セット
6月:ヘラート州、ニームルーズ州へ2セット。パキスタンからアフガニスタンへ帰還した人々へ。
8月/9月:地震被災地(クナール州と近郊)へ7セット(そのうち3セットはノルトラインヴェストファーレン州の支援)

Schreibe einen Kommentar

Deine E-Mail-Adresse wird nicht veröffentlicht. Erforderliche Felder sind mit * markiert